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事務所通信Vol.8 part3(2010年9月)

■今月のきづき

仕事のコツ!思い切って覚悟を決めれば、

楽だし上手く行く!

 


◆某E社での社員研修のひとコマより

先日顧問先の某E社にて、私赤沼が講師として社員の皆さんの前でお話させていただく機会がありました。来春入社予定の二十歳前後の方やアルバイトの方、40代のベテランまで様々の方がいらっしゃいました。

私のつたない経験の中で折々に気付いたことで、社員の皆さんが仕事を続けていく上で役に立つ考え方をお話させていただきました。

そこで今回は、読者の皆さんがご自分より若い方達、職場や人生の後輩達が仕事や暮らしの中で壁に突き当たっているような時、助言するヒントに役立てていただければと思って書かせていただきました。

 

◆最近の社員によくある傾向

 そもそもこの研修をするきっかけは、私とE社社長とで続けられている毎月の経営企画会議の中で出た話でした。

 E社では二十歳前後の女性を来春一人雇い入れることにしたのですが、その人はとにかく積極的で物おじせず、何でも自分から考えてやってみようという意気込みがみなぎっているのだそうです。

 前からいる他の社員にも良い刺激になるのではと大変期待しているそうです。それというのも他の社員の中には、決して自分から「こうやったらもっと良くなるのでは。」とか「こんなことをしてみたい。」と言った提案や意見を全く言わず、社長に言われたことをただやっているだけで十分だと勘違いしている人が少なからずいて、社長が大変気にしていたからです。

そう言えば他の複数の顧問先でも今の若い社員は、何も欲が無いみたいで、とりあえず今の目の前の仕事を黙々とするだけで、先々に向けて新しいことを身に付けて頑張ろうとする気がないとか、いい年齢にも関わらず将来設計が何にもないという声を耳にします。どうやら将来のことを漠然としか考えられず、単に今を大きなストレスなくそこそこ過ごせれば良いと考えている若手・中堅社員が増えているように感じられます。

 

◆私自身の若かりし日の大失敗

実を言いますと私自身、今思えば20代・30代の頃は仕事に取り組む姿勢等、物の考え方が大変幼かったなと思わざるを得ません。

最初に入社した広告関係の会社では、ただがむしゃらに働きましたが、その時の自分にできるレベル・量を考えずにあらゆる仕事を引き受けたために、量はこなしたけれどもある失敗の後、気持ちが切れた状態になってしまいました。

毎晩終電で帰宅し夜中23時まで仕事をし、休日も殆んど取材やらで仕事漬けの日々でした。

そんなある時事件が起きました。チラシ用の商品撮影をする予定で、その撮影スタジオの近くで待ち合わせをしたのですが、こともあろうに私がその待ち合わせ時間に遅刻してしまったのです。

当時は携帯電話というものもありませんでしたが、行き先のスタジオも全くわからず、右往左往しました。その日は休日のため会社にも誰もおらず、連絡して相談できる宛も全くなく、本当に慌ててしまい、ただただ大変なことをしてしまった思いだけで一人悩みました。

本当に頭の中が真っ白になったまま、会社に電話もせず翌日からアパートで一人震えていたものです。二日後に上司が尋ねてきてくれて、別に私がいなくても撮影に全く支障がなかったことを伝えられても、もう私自身こんな大失敗をしてしまった自分が許せないことで頭がいっぱいで、誰の言葉も耳に入りませんでした。

すっかりパニクってしまったのです。今思えば、とてつもなく自意識過剰でした。まだまだ本当の力も無いくせに、自分もいっぱしに会社やお客様の役に立つ良い仕事をしているつもりになって自惚れていたのです。

やはり自分を冷静に客観的に見つめることを学ぶ必要がありました。これはもちろん簡単なことではありませんが、本当の自分はまだまだ成長途上であり、何をやらせても未熟なことだらけだということに気づき、ただがむしゃらにやるのではなく、慎重に頭を使ってまた気を利かせて具体的に自分の言動を改善するように努めるべきでした。

 

◆見て、盗んで、直して、繰り返し挑戦して覚える!

最初の会社で大失敗(と思っていたのは私だけで、上司にとっては想定の範囲内。)をしでかした私は、会社の誰にも顔を会わせる勇気もなく、どうやって自信を回復させれば良いかと悩みました。

でも実力も無いにも関わらず根拠のない自信だけを回復させようとしていたところがやっぱり未熟でした。

ともかく今のままではいけない、何とか叩き直そうと思い立ち、一見自分に不向きなようにも思える魚屋修業に飛び込むことにしたのです。そしてやるからには自分でお店を作りたいという希望に燃えて。

魚屋修業で学んだことは、包丁で魚を捌く技術、皆で午前中いっぱいかけて魚や切り身、お刺身をこしらえる作業、お客扱い等、言葉では教えられないことばかりだということでした。

例えばカツオをおろすにしても、その包丁使いを言葉で言い表わすのは非常に難しい複雑な動きや加減が要るというものです。

そのため先輩が「いいか。こうやるんだ。見てろよ。」と言って目の前で一瞬の間におろして見せるのですが、次に私が真似してやってみても、どうしても同じようにはできません。頭をひねりながらこれを繰り返したものです。

この失敗しても失敗しても諦めずに工夫を重ねて改良を繰り返して挑戦することは、すべての仕事を覚えるのに通じると思います。たくさんの魚を台無しにしてしまいましたが、本当に良い修業をさせていただいたものです。

 

◆公認会計士試験を目指した際の恐怖体験

さて5年間続けた魚屋修業の途中、お店が他所の飲食店を居抜きで買い取り、魚料理を売り物にした食堂を始めるということがありました。

その際、買い取り後のメニューの設計、経費、回転率から売上予測などの一切を作る手伝いをさせていただきましたが、これが私がその後公認会計士になる大きなきっかけになりました。

その魚屋の社長にとって、初めての飲食店経営の採算や管理にはわからないことが多かったらしく、私の作ったものを見て大変喜んでくれたのです。

そして借金をして魚屋を自分で開店することが非常にハイリスクだということもわかり、魚屋の社長のような中小企業経営者に喜んでいただけるお手伝いをしたいと考えて、公認会計士を目指すことになったわけです。

この公認会計士試験の受験で気づいたことは、私がいかにプレッシャーに弱いかということでした。

3回目で合格したことだけを見れば大変順調な合格体験だとも言えます。

しかしよくわかったのは、私には自分の客観的な実力を認めず、気合で無理やり乗り切ろうとする悪い癖があることでした。実は最初の2度の受験の際、合格するには実力が足りないにも関わらず、気持ちだけは早く合格してこの肩身が狭く不安いっぱいの受験生活から抜け出したいという思いが強くありました。

そうしたら試験日の朝、強烈な緊張に襲われ、お腹の大動脈がドッキンドッキンと異様に強く脈打ち、試験の最中も殆んど何をしてるか自分でわからないほどに上がりまくってしまいました。

いくら自分をだまそうとしても、実力がないことは自分が一番よく知っていたからこそ、体が過度に緊張したのではないかと思います。

その証拠に合格した3度目の受験の際は、当初の計画どおりしっかり準備し、明らかに実力も付いていたためか、前年までのようなことは全く無く、静かに適度な集中力を維持して終始落ち着いて受けることができたものです。

 

◆最初の事務所の先生の忘れられない一言

 公認会計士になった後、最初の事務所では、所長先生に大変厳しく指導していただきました。規模は小さい事務所ながらも、株式上場準備のコンサルティングや複数の会社のM&Aをするなど、行っている業務水準は大変高かったようでした。

 それは後に中堅会計事務所で数年間税務に特化した際も、さらに後に某監査法人にてベンチャー企業の会計監査や株式上場準備コンサルをした際も、その後の経営コンサルティング会社で事業再生コンサルの最前線に立った際にも、さらに確信が強まっていくほどでした。

 そこで得た私にとっての一生の財産が二つあります。その一つがスピードです。それも大変なプレッシャーのかかった状態での作業スピードです。先生がかたわらで、「遅い、急げ、何をしてる。」と煽る中で、間違いの許されない作業をするのに慣れたせいか、どんな仕事でも必ず時間に間に合わせ、30分しかなければ30分でも要所を押さえた成果を出せるようになりました。

多くの人を見てみると、最初に丁寧さを覚えて後からスピードを上げることは難しいようです。初めから荒削りでもスピーディーに手早くやることを覚え、その中で要所を押さえて完成度を高めるのが仕事のコツです。料理や包丁仕事も同じです。

 また二つ目が先生から浴びせられた言葉です。

私が何かを間違えて先生に伝えてしまって叱られた際のことです。「いいか。お客さんに誤った内容を教えた時、後でうっかり間違えましてごめんなさい、と言ったところで、そのお客さんにとっては、わざと嘘をつかれたのと結果は同じなんだから、あんたは嘘つきだと非難されても申し開きできないんだよ。だから君は嘘つきと同じだ。」当時は随分なことを言う先生だと思いましたが、私自身がお客様に直接責任持つ立場になった際、心の底からあの先生の言うとおりだと思います。

 

◆プロとアマの違いということ

 私のような職業的専門家ではなくても、あらゆる職業でプロだと言われる人は、言い訳をしない

人です。仕事の結果がすべてであり、期待に応えられなければ、いくら人より頑張ったと言ってもそれは言い訳でしかありません。もっとも頑張りさえすれば、必ず期待に応えられるというほど世の中、単純ではありません。どんなに頑張ったつもりでも、上手く行かないことは少なくありません。でもだからこそそのような時は、徹底的に原因を分析して二度と失敗しないように工夫改善するのです。そして日々こつこつ実力を蓄えるのです。そしてよくよく怠りなく準備をするのです。どんなに全力を出して頑張っても、実力以上のことができるわけはありませんから、すべては普段の修練と準備が勝負を分けることになります。

 

◆少しづつ気づき始めた仕事のコツ

 最後に一言申し上げると、最近のキーワードとして「覚悟を決める」があります。やると言ったら最後まで何が何でもやり切るとか。それが自分の担当や責任範囲かどうかに関わらず、いい成果を出すために今自分ができることを細大漏らさずやり切るとか。すると不思議なことに逆に仕事が楽に感じられたり、偶然がいい方に転んで上手く行くことがあることに気づきました。

 今回は未熟な自分の失敗体験を皮切りに、少しづつ他人様のお役に立てる仕事ができるようになるまでの仕事上の気づきを共有させていただきました。苦しんでいる社員も、いつか気づく時が来ると信じて声をかけてあげてはいかがでしょうか。

(文責:赤沼)